【修理】文字の刺繍直し 詩吟の演台掛け
演台掛けの文字の刺繍の修理のご注文頂きました。
国柱流若草吟詠会→国桂流詩歌吟詠会 に名称が変わられるとの事で、今回は「若草」の2文字を「詩歌」に変える事になりました。
他に、刺繍の浮いている個所のとじ直し、刺繍糸の外れの修正などのオーバーホールも行います。
- 最初に、刺繍をするための下絵を書きます
元々の書体が、パソコンなどにある書体ではありませんので、職人さんの手で
見本の書体と違和感がないように、似せて書きます。手作業です。
- 刺繍をする為に、裏地を外します。縫い付けてある糸を丁寧に切っていきます。
今回のは「別珍(べっちん)」という生地です。強く引っ張ると生地が裂けてしまったり、急いで作業すると余計な部分を切ってしまいますので、慎重に行います。
- 「若草」の文字を外します、最初に裏側からとじ糸(金糸を止めている糸)を切っていきます。裏から見ますと1文字がこれだけの糸で止められているのがわかります。ここでも表側に突き抜けないように慎重に行います。
次に表のアップリケを外します、糊やボンドなどで貼り付けていることが多いので下地の別珍がはがれないようにゆっくりと慎重にはがします。多少の跡が残ります。
漢字の三→一のように文字が小さくなり、跡が目立つ時には、地直しをすることもあります。
今回は、同じような大きさの文字が入りますので目立たないと判断し、お客様とも相談の上、地直しは行いませんでした。
- 歌詩 の文字を下絵通リに下地の金色の生地を切り縁を金糸で止めて刺繍しました。これを「アップリケ刺繍」といいます。体育館や舞台の幕なんかに「寄贈 〇〇〇〇」という文字が入ってるのをご覧になったことがあると思います。その文字はだいたいこの「アップリケ刺繍」です。
- 最後に裏地を縫い付けて完成です。
「誌歌」の2文字は新しい感じがしますが、遠くから見ると違和感なく仕上がったと思います。お客様にもお喜びいただきました。
新調に比べ修理は、仕上がりのイメージが付きにくかったりしますが、この際に全体的なオーバーホールも出来ますので、先代から引き継いだものを大切にするという観点でも、お勧めです。
弊社は「喜びの旗」をコンセプトに掲げています。「物を大切にする喜び」「引き続き使い続けられる喜び」という喜びの形を再認識させていただきました。
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